煎餅の旅と日常

埼玉県生まれ、埼玉県育ち、生粋の埼玉っ子が関東を飛び出し旅へ行く。様々な街へ行き、現地の鉄道に乗り、様々なものを食べた私の旅のゆるい記録です。

奥羽本線峠駅、峠の力餅を食す 北海道陸路旅#C3

こんにちは。くさせんべいです。

この記事は本来本編に組み込む予定でしたが、本編が想像以上に長くなりそうなのとこれだけでそれなりにボリュームがあったことから、記事を分離することにしました。

今回は、#C3と題しまして旅行中に食べた「峠の力餅」について記録していきたいと思います。

 

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くさせんべいの記事リンク集

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2020年「北海道陸路旅」記事リンク集

 

#1↓

"特別"な大地を目指して 北海道陸路旅#1

本編(#2)

奥羽本線を北へ北へ 北海道陸路旅#2 

 

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ということで福島県は福島駅。12:51発の奥羽本線に乗って北へ北へ北上していきます。

かつては東北本線から直通する列車も運転できましたが、現在では軌間の違いから物理的に不可能となっています。

 

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奥羽本線は、庭坂を出ると急に山岳路線としての顔を見せはじめます。この先、現在では休止駅の赤坂駅を含め4駅がかつての連続スイッチバック駅となっていました。

 

「峠の力餅」。それは、奥羽本線、峠駅にて現在では絶滅危惧種とまでなったホーム上立ち売りにて売られるお餅です。この立ち売りの光景が見られる峠駅は、福島駅から数えて5駅目、連続スイッチバック駅の3駅目に位置し、文字通りかつての普通列車スイッチバックをして駅舎に入っていきました。

ホーム上での立ち売りは現在ではまずほとんど見られない光景ですが、かつては色々な駅で弁当の立ち売りがあって、客車の窓が開けられた当時は車内で窓越しに弁当を買う、という光景が至る所で見られたそうです。

新幹線が開業し、飛行機移動が大衆化し、自家用車が普及し…その裏で長距離列車、ひいては主要駅での列車の長時間停車が消えていくとともに車内で弁当を買いたい需要は低下、生き残った駅弁も東京駅とかの大型ターミナル駅で他の弁当とともに売られたりそもそも列車とは関係ないところで売れたりとなって立ち売りの光景は次第に失われていったようです。まあ私はその時代を知らないんですが。

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奥羽本線、峠駅ではそんな時代になったにも関わらずホーム上立ち売りを行っている非常に珍しい駅で、この駅では「峠の力餅」を買うことができます。餅なので、弁当ではないですが、雰囲気はばっちり。

719系はボックス席区画を除き窓が開かないので、多くの人は席を離れドアを開けて買うことになります。当然私もおひとつ購入。1000円というのはビミョーに高いですが、これを目的としていた以上痛い金額でもありません。このとき売れたのは私の1コと、高校生らしき予約の人の2コ、それから他のドア越しでも販売していたようですが、売れたかどうかは未確認です。

ホーム上には「ちからぁ~もち~」という威勢のいい声が響きます。車掌がドアを閉めるまでのやり取り、出会い。実に不思議なものです。

 

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ということで買ってまいりました峠の力餅。

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中身は大ぶりの餅が8つも入っています。写真では1コ食べちゃってるけど。

お餅はこしあん入りで甘め。お餅というより、モチモチしたまんじゅう…ではなく、大福のほうが正しいでしょうか。外側に少し粉が付いたお餅にはほんのり塩味がきいており、とても美味しいです。買った時点で少し冷えていたのもグッド。

案外ボリュームがあるので、普通の人ならコレを昼食代わりにするのがよいかと思われます。または、複数人で来てみんなでシェア。みんなで食べる力餅はさぞ美味しいことでしょう。こういうときにボッチはつらい!(なお主の友人に鉄オタ旅オタは皆無)

 

峠の力餅ですが、その歴史は1世紀以上。現代は5代目?でしょうか。その歴史の中であった僅か一瞬、出会いと別れのドラマの一片は公式HPで語られています。昔はスイッチバック駅でしたので比較的のんびりしていたようで、力餅だけでなくつまみ、サイダー、酒なんかも売っていたそうな。現代で売買できるのは停車時間の僅か30秒。力餅のみの販売、1コ1000円という現代の販売スタイルは、客に迷わせず力餅販売のやり取りを単純化し、限られた時間でよりたくさん売るために最適化されていった結果なのでしょう。そこに色とりどりに並んだ商品を吟味してオサイフと相談する楽しみはありませんが、立ち売りが貴重となった現在ではこのやりとりだけでも貴重な体験です。

 

「峠の力餅」自体は列車でなくとも、自家用車で来れば買いに行けます。お食事処も併設されてるようですから、本数の少ない列車で来るには都合が悪い…という方はお車でどうぞ。ただ立ち売りの光景が貴重なものとなった現在、こうやって列車で買いに来るのもよいかと思われます。

山形新幹線で売られてるのは分店だかなんだかでここで売られてるのとはちょっと違うらしいのでご注意を!

 

思った以上に量が多く、昼食をあらかじめ詰めていた腹にお餅を全て入れるのはきつい、ということで半分だけ食べ残し。残りはその日の夜に夜食として食べました。

 

列車の旅がマイナーとなっていった現在では貴重な駅立ち売り。潰れることなく、後世にもこの光景が続くことを願うばかりです。

ごちそうさまでした!

 

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食べてる間にも峠を下り、列車は山形県米沢駅へ。

ここからも北へと奥羽本線を下っていきます。ですがそれは、続きは本編で書くこととしましょう。

奥羽本線を北へ北へ 北海道陸路旅#2